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【日 時】 2008年5月31日(土)午後2時〜4時50分
【場 所】 ICUアラムナイハウス
【講 師】 百瀬 浩氏(23期、中央農業研究センター 鳥獣害研究サブチーム長)
【講 演】 「生きもの地図で見る地域の自然環境」
【主 催】 国際基督教大学・国際基督教大学同窓会・やんもり
【企画・運営】 G21/ICU森の番人
あいにく終日雨となったが、百瀬講師、鈴木学長をはじめ34人が会場を埋めた。司会は松宮丞二(3期)・ICU森の番人世話役。
冒頭挨拶に立った鈴木典比古学長はキャンパスでの自身の日常的体験を紹介し、「この環境が本学の特色であり、これを守っていくのが大学の使命だと思っている。この素晴らしい環境の中で、先生との対話、学生との対話、自然との対話を通じて全人的に成長していってほしいと思う」と結んだ。
続いて司会から、1979年23期生として理学科卒業、89年理学博士(京大理学部)。山階鳥類研究所、国土交通省国土技術政策総合研究所の研究員を経て、現在は農研機構・中央農業総合研究センター鳥獣害研究サブチーム長。野性動物の保護管理や農業被害対策について研究しているとの百瀬講師の略歴の紹介があり、パワーポイントを使っての講演に移った。
「生きもの地図で見る地域の自然環境」と題する百瀬講師の講演は二つのテーマがあり、第1部は人間と野生動物の共存に必要な環境とはどういうものかというテーマで、石神井公園、善福寺公園、井の頭公園、和田堀公園を対象として、自然環境が残っている場所の現在の生物相と同じ地域の昔の生物相を比較する「時間的」アプローチを用いて、環境保全の方向を探るものである。
これにはGIS(地理情報システム)を用いて作成された過去(1932年‐1945年)と現在(1980年‐1998年)の景観地図が用いられた。
文献調査等による過去の繁殖鳥類の生息状況リスト及び景観地図から生息地変化指数と生育状況変化指数を算出し、この二つの指数には深い関係があり、結論として以下のことが述べられた。
・ すべての生物分類群で、過去60年の間に生物多様性の低下が見られる。
・ 生物の生息地としてのランドスケープの規模の変化と、生物相の変化の間には対応関係があり、生息地の減少、消失が生物多様性の低下の原因となっている。
・ 今後、過去の生物相を一つのモデルとして環境の保全、復元を行うにあたり、現在ある程度の規模で残っている樹林地等を保全する必要性は高い
第2部として希少猛禽類の保全に必要な生息環境から生息数の予測が紹介された。
猛禽類は個体数が少なく、多くの場合希少種であり、行動圏が広く、多様な動物類を餌として捕食するため、猛禽類の生息を地域の生物多様性の指標として利用することが可能である。
この調査では猛禽類の中からオオタカとサシバを選びその生息環境を調べた。2種の猛禽類の営巣密度を予測するモデルを用いて広域的な予測を行った。この手法は猛禽類保全のための有効な道具となり得ることが確認された。
若干の質疑応答の後、現役の諸遊直子さんが代表として「やんもり(ヤング森の番人)」の紹介を行い、上遠岳彦理学科講師を顧問に週1回、野草の調査、竹林の整備などを行っていると報告。今後も先輩や地域の人たちと共に活動していきたいと述べ、ICU自然環境の保護・管理に関心を寄せる若者たちの熱意が披瀝された。
勉強会は、当初キャンパスツアーを予定していたが、悪天候のため中止。代わって上遠岳彦理学科講師が「ICUキャンパスの動植物」についてスライドを使って講演。広さは約62ヘクタール、緑被率81.6%の元気な森が広がっており、野鳥は130種類、昆虫や哺乳類も多種。ICU周辺は「自然の宝庫」であることを強調した。そして上遠講師の親戚にあたる上遠恵子氏(日本レイチェル・カーソン日本協会理事長)が翻訳し、ICU9期の森本二太郎氏(写真家)が写真を載せ、上遠講師も協力されたレイチェル・カーソン著『センス オブ ワンダー』から、以下の文を引用して講演を終えた。
「自然に触れるという終わりのない喜びは、決して科学者だけのものではありません。大地と海と空、そして、そこに住む驚きに満ちた生命の輝きの下に身を置くすべての人が手に入れられるものなのです。」
最後に、同窓会副会長・須藤武さん(6期)の閉会挨拶があり、3時間にわたる勉強会は終了した。
文責 ICU森の番人事務局
2008.10.3
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