メジャー&キャリア

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角田雄彦さん 第二回

 

<第二回:メジャーとキャリアの関係は‥>

角田

話を、メジャーとキャリアに戻しますね。あえて明快に言ってしまえば、メジャーとキャリアとの間に関係はないと思います。

一同

ええっ、どういうことですか?

角田

逆に言うと、私が普通の大学の法学部出身の弁護士とは違う視点で研究ができているのは、法学部に入らなかったからだと思います。

三上

具体的には?

角田

具体的に言うのが、これが難しいんですけど(笑)。

学会などで質問する観点が、他の人と違うらしいんです。例えば、「この観点からも検討が必要なのではないでしょうか」といったことが、他の法学部出身の人からは出てこないんです。

つまり、批判的思考の1つなのですが。でも、それが何で法学部卒だと出てこないのか、私には実感できてはいません。

三上

わからないけれども、角田先生は他大の法学部を選ばなかったわけですよね?

角田

でも、その当時、法学を究めるためにはリベラルアーツに入っておいたほうがいいとは思っていなかったですよ。これは、結果論です。

三上

ICUの法学専攻でも、専門性が身に付くとは思っていなかったのですか?

角田

思っていなかったですね。

よくICUで弁護士になりたい人に、キャリアプランはどうだったかとか聞かれるんですけれど、あまりそういうことを考えたことがなかったんですね。

当時、司法試験に受かるには大学の勉強だけでは無理だと言われていました。

ですから割り切りがあって、大学に職業教育を求めなかったわけです。それで、法律は1年生のときから予備校で勉強していました。

諸岡

大学は、知識を身につけるためにあるのではないんですね。

角田

それは一面ではそうです。

でも、「この人は言われたことをこれだけできるのだ」という評価を受けられるような事務処理能力も必要なんです。

例えば、高校で英語ができると言われる人が、本当にできるとは限りませんよね。

でも、その人は言われたことをきちんとこなして一定の成果を上げることができるという側面はもっている。

大学にもそういう学科教育的側面がまだあって、それもそれで重要です。

やはり成績が悪い人は、事務処理能力が低いということになる。



諸岡

な、なるほど〜。

角田

試験前にそれなりのことをやって、取捨選択をしてそれなりの対応ができないと、それは企業も嫌ですよ。

例えば、プロジェクトで大変なことが起って、あと3日で何とかしなければならない!というときに、取捨選択をして対応する力がないとどんなに素晴らしい発想力があってもだめなわけですよ。

弁護士もそうです。3日以内にこの書面を書かなければいけないというときに、成果物にできない人ではだめなんです。

諸岡

なるほど〜。

三上

少し話が戻るのですが、先程ICUの法学専攻では専門性は身に付かないとおっしゃっていました。

角田先生はICUで法学を学ぶことの意義は何であるとお考えですか?

角田

法学を学ぼうとすることはいいですけれど、法学部やロースクールと同じようにやることは意味がないだろうと、私は思っています。

だから絶対に、ICUの法学専攻で、ロースクールの前倒し的教育をすることはあってはならないと思っています。

知識を身につけるのはいいけれど、そのままありがたくお経のように受け入れるようなやり方はICUには相応しくないですよね。

諸岡

既存の結果を受け取るのではなく、どう作られたかというプロセスが大事であると。

角田

そうです。法律も、条文をただ暗記するのではなく、なぜそのような法律が出来たかを、その時代背景と照らし合わせながら考えるのが、ICUらしい法学だと思います。

それで、そういった教育がしやすいのは人文科学系(ヒューマニ)であるのは確かです。

どうしてかというと、例えば、プラトンが書いたことを全部暗記して筆記できるようになれ、なんてことありえないじゃないですか(笑)。

一同

ないですね(笑)。


角田

ギリシャ古典を読むときは、テキストと対話して時代的な意味を考えることが重要なわけですよね。

でも、例えば政治学や経営学で間違った教育をすると、この教科書のここの部分を暗記して、というふうになりかねないわけです。つまり、対話が意識されなくなる。

諸岡

なるほど。「対話」がキーワードですね。

角田

そうですね。

諸岡

以前、「リベラルアーツ教育とは、他者との対話を通して自己と向き合えるようになることである」と森本あんり先生がおっしゃっていました。

今、角田先生がおっしゃった古典との対話は、そういった意味でリベラルアーツと繋がっているな、と思いました。

角田

そうです。リベラルアーツ教育とは、まさに古典を読むことなんですよね。

まぁ、色々な対話の仕方がありますけれど、その対話のひとつとして、歴史を越えた対話しなさい、というところがあるんです。

つまり、古典的なテキストに触れる、ということです。時代を超越した、何か普遍的な良いものがあるのではないか、という問いを発することが、リベラルアーツにはあるんでしょうね。

諸岡

そうすると、ICUでリベラルアーツを存分に味わえるのは人文科学系のメジャーであるような気がしてきました(笑)。

角田

それは、私はそう思っていますよ(笑)。

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もくじ

第一回 メジャー選びの基準は「人」でした

第二回 メジャーとキャリアの関係は‥

第三回 メジャー選択よりも大切なこと

第四回 「無駄なもの」は何もない

メジャー&キャリア

メジャーとキャリアの関係性について、現役ICU生が同窓生にインタビューしました。
同窓会とICUアカデミックプランニング・センターの共同企画です。

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