メジャー&キャリア

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岡田さん 第二回

 

 

<第二回:留学で確信したこと>

鵜飼

転科した教育学科では、どんな勉強をしたんですか?

岡田

当時の教育学科には、いわゆる教育学や教職課程の授業だけでなく、心理学とか、教育工学・コミュニケーションとか、いろいろな分野が集まっていたんですが、すべてが先生になるための授業というわけじゃなかったんです。私も、教育学科に転科したけれど、教職を取ろうとは思わなかったんですよね。

最終的には教育社会学の先生のゼミに入って卒論を書いたのですが、転科してから卒業まで、私が一貫して興味を持っていたのは、「生徒が学びたくなる環境をどう作ったらいいのか」という事でしたね。

これは、僕の中では、湯島天神の鉛筆と一緒なんです。生徒が自ら学びたくなる状況を作る時に、すべてを先生一人が背負うのではなくて、環境から考えていくのは、すごく大事なのかなって思うんですよね。

鵜飼

環境作り、ですか?

岡田

この事って、教育以外でもあてはまる事なんじゃないかな、と思うんです。

例えばIKEAっていう有名な家具屋さんがありますよね、販売員もいっぱいいて、もちろん専門知識も、接客技術も持っている。でもやっぱり、販売員が全てのお客さんを対応するのは無理がある。

それで、IKEAには、「この部屋丸ごと15万円」みたいな部屋丸ごとの展示がたくさんあって、お客さんは、店員から話を聞かなくても、いろんな展示を見てイメージを膨らませて、買い物を楽しんでる。つまり、接客の技術とは別に、お客さんが買いたくなる環境を作っていると思うんです。

これも、教育の環境づくりとすごく近いのかな、と思うんですよね。

鵜飼

あー、確かに‥‥。じゃあ、教職は取らずに、教育環境とかについて学んでいたわけですね?

岡田

そうですね。例えば、黒板に書いた方がよく分かるのか、映像で見せた方がよく分かるのか、を分析する授業とかも、面白かったですね。

あと、卒論も結構楽しかったですね。

卒論では幼稚園をテーマにしたんですが、キリスト教系の幼稚園と、仏教系の幼稚園と、無宗教系の幼稚園の3つに、ペンとノートとお弁当を持って、それぞれ1週間ずつ、毎日通いました。

先生と子供がどういう会話をしているのかを、とりあえず全部ノートにバーって書き出して、後からそれぞれの違いを分析していく、という内容だったな。

まぁ、ノートを持って教室の隅に立っていると、子供たちに「お兄ちゃん遊ぼう!」って絡まれては、「お兄ちゃんは勉強中だからあっち行ってて!」みたいな(笑)。

鵜飼

楽しそうですね(笑)。そんな卒業研究もあるんですね。

岡田

そうそう。

振り返れば、最初ICUに入った時は社会科学科で、なんとなく経営学とか経済学が役に立ちそうだなと思っていたけど、そこからコミュニケーションに興味を持って、教育学科に転科して、最後は幼稚園に入りこんで調査するとは、入学した時は全く思ってもいなかったですね。

鵜飼

なるほど。4年間でいろんな変遷があったんですね。

水庭

教育やコミュニケーションなど、いろいろやられていたと思うのですが、学生時代に一番頑張っていたことは何ですか?

岡田

うーん、一番苦労したことでもいいですか?

水庭

はい、ぜひ。

岡田

一番苦労したことはね、やっぱり留学ですね。

海外だから、日本語が使えないじゃないですか。

もともと言葉で教えたり伝えたりするのが好きだったわけなので、言葉が通じないっていうのが、想像していた以上にものすごいストレスで、苦しみましたね。

水庭

そうですよね。

岡田

それこそ高校の時に、「自分は英語をやらなくてもいいや」って思っていたツケが回ってきたのが留学時代でした。

留学先のテネシー大学は学生2万人のマンモス校だったんだけど、日本人はそのうち100人くらい。授業では日本人はおろか、アジア人もめったにいませんでした。

事前に準備できるスピーチだったら大丈夫なんだけど、先生がブワーってしゃべって、内容が何かを理解しようとしている間に、「どう思う?」って聞かれて、仮に日本語で思いついたとしても、英語で出てこない。

そんなことをしていると、周りのアメリカ人の学生が、他愛のないことをバーって言って、もう僕が言うタイミングを逃しちゃうみたいなのがたくさんあって。

鵜飼

すごく分かります(笑)

岡田

結局、1年間の留学では、思い通りのコミュニケーションを英語で出来るようにはならなかったですね。

「英語なんて、大体意味が伝わればいいんだよ」という人もいるとは思うのですが、自分は細かいニュアンスまでちゃんと伝えることにこだわる人間なんだと、はじめて気が付きましたね。

水庭

留学に行ってよかったと思いますか。

岡田

もちろん、行ってよかったと思いますよ。

アメリカに1年間住んでみて、「やっぱり自分は日本で生きていくんだ」と確信を持てた気がします。

今はどこも“グローバル人材”がもてはやされていますが、自分は何と言われようと、日本語のコミュニケーションの細かいニュアンスを大事にするプロとして生きていく、という覚悟ができましたね。

あと、アメリカはご飯が全然美味しくなかった(笑)。

水庭

(笑)

岡田

ご飯って大事だな、って思いましたね。

テネシー大学は学内にバスが走っているくらい広大な敷地なんですが、学食が10か所くらいあるんですよ。

でも、10か所どこに行っても、ハンバーガーやピザしかない。ルームメイトのアメリカ人は、大げさでもなんでもなく、本当に毎日ハンバーガーかピザしか食べないんだよね。

で、結構ガタイもいいし、病気にもなっていない。でも、「野菜食べないの?」って聞いたら、「食べているよ。ポテトなら!」という感じでした。

水庭

それはすごいですね(笑)

岡田

僕は一週間で耐えられなくなって、炊飯器と包丁とまな板を買って、アジア系の食材屋さんに行って、自分でカレーライスとか、親子丼とか作って、暮らしていましたね。

やっぱり、日本食っておいしいですよね。

水庭

そうですよね~。

岡田

とはいえ、徐々に英語にも慣れて来て、英語でコミュニケーションするコツも見えてきました。

例えば、「あんまり良い事を言おうとしなくてもいいんだ」っていうこと。

英語が徐々に聞きとれるようになってくると、実は周りのアメリカ人の学生は、あんまり大したこと言ってないなというのがなんとなく分かってきた。先生のオウム返しでもいいから、まずは発言することが大事、みたいな文化なんだなって思いましたね。

あともう1つは、「日本人である事を生かす」という事です。

例えば、広告の授業を取った時に、アメリカのマクドナルドのCMを流して、「これを見てどう思いますか?」という質問が先生からあったんですが、僕はぱっと手を挙げて、「日本ではこういうCMをやっていて、ここが違います」という感じの発言をしたら、皆に興味を持ってもらったんですよね。

それで、当たり前なことなんだけど、日本のことを知らないとダメだな、っていうのをすごく身をもって感じましたね。

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もくじ

第一回 湯島天神の鉛筆がきっかけで‥

第二回 留学で確信したこと

第三回 深さと真理で勝負する

第四回 マイノリティを楽しもう

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メジャーとキャリアの関係性について、現役ICU生が同窓生にインタビューしました。
同窓会とICUアカデミックプランニング・センターの共同企画です。

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