メジャー&キャリア

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鈴木さん 2回目

 

<第二回:45人の外国人を前にして>

櫛田

ドイツでの博士課程で感じた違和感とか、どのようなものだったんでしょうか?

鈴木

当時、僕がいた大学は東ドイツの人口三十万人都市で、日本人は僕ひとり。もともと共産主義の地域なので、一昔前だと、英語で話しかけてもロシア語で返ってくる、そういう街だったんです。

外国人と言えばトルコ人か、共産圏時代に移住してきたベトナム人というようなところ。大学でも色々な国から来た人たちがよくケンカしているんですよ。

そして唯一の日本人である僕はその間にたまたま居合わせて、仲裁したりして(笑)。

櫛田

(笑)

鈴木

でも今振り返ってみれば、そんな経験から、人と人のコミュニケーションのあいだに立てる、いわば緩衝剤になれるんじゃないか、と気づいたんです。

それまでは自分が役に立てるとは思わなかったけれど、人と人をつなぐ事って楽しそうだな、と。

櫛田

なるほど。

鈴木

日本に帰って大学の先生やるのもいいけど、もっと自分の能力を世の中のために活かすにはどうしたらいいかって考えたんですね。

一人で研究や実験で成果出して貢献する方法もあるけど、いろんな人を巻き込みながら進めていく方が、もっと効率がいい。自分がその中心力になれたら、影響力も大きいし、もっと貢献もきっとできるんじゃないか、っていうふうに思ったんです。

それに、やっぱり人が好きで、人と接するのが多い仕事がいいなと。

櫛田

理系の研究者から、ビジネスの世界へ、すごい転身ですね。

鈴木

そうですね。でも、海外では、経営者や政治家が、意外と理系の博士だったりするんですよ。例えば、ドイツのメルケル首相も、物理学の博士です。

物理学というのは、要は「ある事象をどうやって説明するか」ということをやっているんです。ニュートンから始まって、この300年余りのあいだ、様々な研究者達が、自然界で起こることの「どうやって」を、できるだけ分かりやすく説明する、そんな学問なんです。

「なぜそう思うのか、どう説明すればそれが正しいと言えるのか」という理系で学んだ考え方は、ビジネスや政治の世界でもとても活きると思います。

櫛田

なるほどー。とはいえ、就職活動はどのようになさったんですか?

鈴木

ドイツの大学院時代は、ドイツの奨学金をもらいながら勉強させてもらったわけです。

留学していた自分としては、とてもありがたかったですね。

それで、やっぱりドイツのためになることしなきゃいけないのかなって思って、まずはドイツ軍に応募しようと履歴書を送ったんですよ。

一同

へぇー!

鈴木

応募したのになかなか返事が来ない。

しびれを切らして軍に電話で問い合わせたら「ああ、ミスタースズキ!きみ日本人だよね?ダメダメ!」って言われて(笑)。

よく考えたら日本人はドイツ軍に入れないんですよね(笑)。

櫛田

そうですよね(笑)

鈴木

それで、民間企業も受けたのですが、その中にドイツの住友商事がありました。

そとから見た商社のイメージで、人と人とをつなぎながら、利益を日本に還元する仕事っていいな、と思って、入社を決めました。

櫛田

そうだったんですね。

鈴木

入社後に気が付いたのですが、海外の事務所に入社するのと、日本の本社に入社するのでは、働き方が全然違うんです。

例えば、現地で採用された人は転勤がない。ドイツならずっとドイツを拠点にして業務に携わるという前提で入社するんです。

一方で、東京本社にいると世界中どこでも派遣される。全く違う採用基準だし雇用体系も違うわけです。

もっとグローバルに働きたい。そして、日本の国益に適うような仕事がしたい、そう思って、東京の本社に入社し直しました。それが、ちょうど30歳になろうかという時でしたね。

櫛田

なるほど、そんないきさつがあったんですね‥‥。

高石

ところで鈴木さんは大学時代にサークルはCMSと黄河砂に入られていたそうですね。

一方は調和を大切にし、もう一方は自分を出す…一見対照的なサークルですが、その中で得られた経験が活きていることはありますか?

鈴木

その2つの共通点はスポットライトを浴びるという事です。

「舞台に上がりたい」「人前に立ちたい」。これに尽きます。

高石

わかります(笑)

鈴木

これが役に立ってるかと問われれば、ものすごく立ってますね。

でも、それを学ぶためにサークルに入ったわけではなく、多分そういったスポットライトを浴びることが元々好きだっんだと思います。今だってそうです。

櫛田

今、というと?

鈴木

アジア圏のある国に出張したときの事なのですが。お客様とアポイントメントをとった時、「ついでに、日本の技術動向を聞かせてください。」というリクエストをもらったんです。

技術動向は専門分野ではなかったけれど、相手が2~3人で、簡単な動向ぐらいなら説明出来るだろうと思って、気軽な気持ちで出発しました。

ところが。

現地に着いてみると目の前にクライアントの外国人が45人も座って、こっちを見ています。

先方の司会の方が、どういう風に始めるのかなと思ってたら、”Please!”しか言わないんですよ。しかも、2時間講義をしてくれって言うんですね。



櫛田

すごい状況ですね(笑)。

鈴木

しかも、そんなプレゼンをしなきゃいけないって知らされたのは、ほんの10分前。

でもそこで「準備ができていません」と言って帰ることはできない。

そんな状況で、緊張しっぱなしでしたが、やりきりましたね。そういう意味で、サークルでの経験なども役に立ったことは少なからずあると思いますね。

高石

物怖じしない姿勢ってこういう時に活きるんですね!私なら緊張してなにも出来なそうです(笑)

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もくじ

第一回 物理の世界以外に身を投じるなんてありえなかった

第二回 45人の外国人を前にして

第三回 哲学メジャーは就職に不利?

第四回 一生懸命生きて来たかは、30分話せばなんとなくわかる



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メジャーとキャリアの関係性について、現役ICU生が同窓生にインタビューしました。
同窓会とICUアカデミックプランニング・センターの共同企画です。

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