メジャー&キャリア

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武田さん 第二回

 

 

<第二回:生徒と対話がしたいから、してほしいから>

諸岡

現在は国語の先生をしていらっしゃるんですよね。

 

武田

はい、今は都内の高校で国語を教えています。

任期三年のバンコク日本人学校での仕事が終わって帰国したときに、私立の先生になるか公立の先生になるか、2つの選択が自分の中にありました。実際、私自身は公立に通ったことが無いので、公立の文化を理解できるだろうかと悩みました。

でも、公立は転勤で多くの生徒に会えるから自分の幅が広がると思って、最終的には都立高校に決めました。



諸岡

なるほどそうなんですね。ところで、なぜ国語の教員になろうと思ったのですか?

ICUといえばでは英語の教員が多いイメージですが‥‥。

武田

そうですね。確かに英語とも迷ったんです。海外で暮らしていた事もあって、英語を話す環境で育ったので、英語を使える幸せは、確かに知っていました。

でも他の日本人にとっては必ずしもそうとは限らないし、そもそも日本語的に文法を理解できない子に、英語を教えるのは先生にとっても生徒にとっても難しいことだと思ったんです。それよりは、もっと授業の中で生徒達と対話したいと思ったので、国語の教員に決めました。

諸岡

具体的にはどんな授業をしていらっしゃるんですか?

例えば、ICUのリベラルアーツ教育の中で教職を取ったからこそ他の先生とは違う、ということはもあるのですか?

武田

そうですね、それもあると思います。少なくとも私は、常に変な授業をしていると言われるんです(笑)。

諸岡

変な授業ですか(笑)

武田

具体的には、生徒のモチベーションが低い時に、どうしたら生徒達が興味を持てるかをすごく考えますね。自分の好きなものを教えることでなく、生徒達「が」何かすることが私の軸なんです。

もちろん生徒達に新しい知識を与えることは大事だけど、色んなことを好きだと思ってもらえることの方がもっと大事だと思うんです。

山崎

なるほど、普通は先生の知識を教える授業が多いですよね。

武田

例えば、先日、詩を使った授業があったのですが、写真をコラージュして、これはどの詩にあてはまるか、どれが好きか、なぜ好きかなど、生徒達の中の詩のイメージを膨らましてもらってから、分析していきました。

もちろん、一般的な解釈も教えますが、とにかく詩を楽しんでいいんだよって伝えたくて、言葉だけでなくて写真も取り入れました。そんな事、他の先生はほとんどやらないんじゃないかな。

諸岡

すごく楽しそうですね!

よく「先生が好きだとその教科は嫌いにならない」と言われると思うのですが、やっぱり先生の熱意によって生徒の反応は違うんですか?

武田

そうですね、先生の熱意は生徒に伝わりますね。だから本当に教師のコミュニケーション能力が大事だと思うんですよね。先生達がいかにその能力を持っているかで、生徒達の反応は全然違います。

その先生が自分達の言う事を全然聞いてくれないと思うと、生徒達は明らかに授業中の態度も悪くなるんですね。もちろん先生が文学が大好きで、それについて一生懸命語るのは良い事なんですが、いかにそれを生徒に分かりやすく伝えるかがもっと大切です。

山崎

なるほど、伝える事が大事なのですね~。ところで、ICU時代学んだ「言語コミュニケーション」とつながりはあるのでしょうか?

武田

あまり意識はしていないけれど、あるのかもしれませんね。コミュニケーションが授業の前提になっているという意味では、もともと自分の興味のあった分野でもあるし、自分なりに何かしらの形で生かしているかもしれないです。

諸岡

ところで、日本人学校時代の経験は、今どのように役に立っているんですか?



武田

日本人学校は中学校だったので、中学生を知った上で高校生を教えるというのは、生徒達のバックグラウンドを広い意味で知っている点でとても良い事だと思います。

ちなみに、日本人学校の先生は、自ら希望して入る先生がほとんどで、三年間という任期も決まっているし、周囲の先生から吸収できるものは全部してしまおうという教育に向ける熱意が凄かったですね。あの三年があって、改めて「教員っていいな」と思えたので、今でも生かされていると思いますね。

諸岡

具体的には、どんな面が良かったですか?

武田

小中一貫だったので、子ども達も9年間の中で成長するんですよね。それと、教員同士の絆も全然違いましたね。アジア最大の日本人学校で、とにかく生徒数が多かったんです。

例えば、バス送迎の関係で登下校の時間が厳密に決まっていて、どんな大事件が起きても時間通りに帰らせなければならなかったので、今以上に教員同士100%密なコミュニケーションが必要でした。

諸岡

学校によって全然違うんですね。

ちなみに今国語を教えてらっしゃって、国語の先生として最終的なゴールというか、目的のようなものはありますか?

武田

色々な目的があるとは思うんですが、私はとにかく自分なりの考えを書いたり、話したりすることで、的確に伝えられることが大事だと思います。例えば、「ヤバい」って言う言葉がありますよね?

諸岡

はい。若者言葉ですね。

武田

高校生の使う「ヤバい」は、年上の人には伝わらないですよね。でも、高校生達は他に言い方を知らない。

そこで、授業で生徒たちに「ヤバい」という単語の意味を自分たちで考えさせて、彼らなりの定義を創る、ということをしました。

諸岡

へぇ~、おもしろそうですね!

武田

単語一つを取ってみても色々な意味がある訳で、そういうことを考えることで、自分達の言語に対する意識を高めてほしいなと思います。他の世代にも伝わるようにコミュニケーションができる人になってほしい、というのが今の目標ですね。

諸岡

うーん、なるほど。言語を使って的確に伝えるというのは、まさにICU時代の「言語コミュニケーション」につながる部分がありそうな気がしますね。

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もくじ

第一回 入口はメディア、出口は教師

第二回 生徒と対話がしたいから、してほしいから

第三回 リツイートされたら、うれしい?

第四回 人生は一度きり、でも一度では決まらない

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同窓会とICUアカデミックプランニング・センターの共同企画です。

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