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第3回ICU同窓会リベラルアーツ公開講座 - 森本あんり教授が講演(2017.11.11)

2017年11月15日掲載

国際基督教大学学務副学長の森本あんり教授(哲学・宗教学)による講演会「人間に固有な知とは何か」が、11月11日、東京・内幸町の日本プレスセンタービルで開催された。この講演会はICU同窓会主催の「リベラルアーツ公開講座」の3回目として開かれたもので、今回は昨年に続き大学が協賛。高校生をはじめとする一般の人たちを含む164人が参加した。

講演は「秋が深まってきました。プラネタリウム気分で天文学の話をしようと思います」という語りかけで始まった。一人の人間が、きらめく星空を眺める図像の上には、カントが『実践理性批判』の中で「賛嘆と畏敬の念が心を満たす」とする「わが頭上の星辰をちりばめた天空」「わが心の内なる道徳法則」という二つの言葉が記されている。 この「法則」は、ハイドン原作の讃美歌での「律法(reason)はかしこく」という言葉で表現されたものだ。こうした「自然法則」(客観的理性)と「道徳法則」(主観的理性)の相即という考え方は、仏教などキリスト教以外の宗教にも見られると指摘した。

 話は京都大学の霊長類研究所が今年の夏に発表した「チンパンジーがじゃんけんを学習」という実験結果に。「本当にじゃんけんをしたのかこの実験では分からない」と指摘した。その上で、それでは「人間に固有の知はあるのだろうか」と問いかけ、それを知るためには「鏡」が必要として、その一例として「人工知能」(AI)を挙げた。

 AIは、いくらでも進化するといわれるが、それではロボットには「だます能力」があるだろうかと問いかけた。人をだますためには「嘘の自分」と「本当の自分」を使い分かる能力が必要で、この問いは「ロボットは自分で自分を認識できるだろうか」という問いでもある。先生によると、ロボットは、進化するからこそ個を認識できず、一方で人間は、空間・時間的に有限であるからこそ、個を認識できるのだという。つまり、人間の知性とは「自分を振り返る能力」ということになる。

 そして、この「自分を振り返る能力」こそ、リベラルアーツの本質であり、単に知識を持つだけでなく、その知を持つ自分が変わること、広い世界に位置づけること、そして、自分自身を相対化して見る目を持つことが重要である。

 その後、講演冒頭にカントの言葉を掲げたのと同じ星空の画像に、旧約聖書の詩篇8篇にある以下の言葉が映し出された。

 「わたしは、あなたの指のわざなる天を見、あなたが設けられた月と星を見て思います。人は何ものなので、これをみ心にとめられるのですか」

 文章としては疑問形だが、詩人には答えが分かっている。「私には、月にも太陽にもない特別な能力が備わっている。それは自分を振り返る能力である。神はどうしてこれほど人間を特別扱いしてくれるのか」。

その問いを掲げているのがハーバード大学だ。そのエマソンホールの入口にはこう刻まれている。

What is man that thou art mindful of him.

「『自分は、そんな特別扱いにはふさわしくない、ただの被造物に過ぎない。だからこそ、与えられた特別な力を自分だけのためでなく、世のため、人のために使うのだ』というのが、ハーバード大学のメッセージです」と説明。「私も、このメッセージを皆さんに伝えたい」と訴え、最後にローマの地下墓地に書かれた「汝自身を知れ」という言葉を示し、自分を知るということは、自分の生の限界を知ること。その限界の中で与えられたものを感謝して受け取り、できる限りのことをすること。それが「人間に固有の知」のあり方だ、と講演を結んだ。

 

文:鷲見徹也(13)  写真:進藤智士(51 ID07)

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